MDS遊便2005年10月号
発電事業の成否が将来を決めるから導入を率先推進しよう
〜2030年の30%増を実現するために、ガス発電普及促進を自らの手で〜
マーケティングデザインシステム株式会社 代表取締役 浅見 博
火力発電は、輸入した石油・天然ガス・石炭などの60%以上を発電所で捨てているムダをなくしたい
毎回この紙面で書いていますように、2030年の需給展望として、LPガス全体の供給量で30%の増販が期待されています。その増販を実現するためには、「環境にやさしい」「省エネ性が高い」「分散型で災害に強い」エネルギーとしてのLPガスの良さを、分散型の発電のガスエンジン給湯器・エコウィルや燃料電池として発揮することです。
なぜ、LPガスの発電が期待されているのかというと、現在の火力発電は、輸入したエネルギー(石油・天然ガス・石炭)を、発電所で燃焼させてタービンを動かして、電力に転換しますが、発電所で60%以上がエネルギーロスとして放熱されています。これは、例えば1バーレル50ドルで輸入した石油のうちの、30ドル相当を発電所で捨てている計算です。天然ガス・石炭も同様です。さらに、送電ロスがあり、手元に届くのは18〜19ドル相当しか届かないのが、現在の火力発電です。このムダをなくすのが、「ガス発電」です。LPガスも都市ガスも、確実に各家庭に輸入した100%が届きます。100%届くガスを各家庭で発電に利用して、電力使用の多い時間帯に利用することが、地球温暖化防止・省エネに大きく貢献します。
家庭内の80%を獲得できる発電にチャレンジ
分散型発電を大きく伸ばすというのが、これからのエネルギー政策の省エネ・地球温暖化防止の対策です。これにより、従来は、厨房・給湯の家庭内のエネルギーの三分の一程度しか獲得できなかったものが、家庭内のエネルギー需要の80%を獲得することも可能となります。
厨房で使用するエネルギーは、家庭内エネルギー利用の6%程度です。コンロだけの利用で、4〜5千円をいただくことは、割高感があるのは当然です。厨房に給湯をプラスしても、32%程度です。さらに、暖房で28%がプラスされます。家庭内のLPガスによるエネルギーシェアをどれだけ獲得できるかが、将来のLPガス事業の興亡のカギを握っています。
まずガス事業者が自社・幹部から利用を積極的に始めることがスタートです
ガス発電の普及には、自社の設備や幹部の自宅・社員の自宅に、エコウィルを設置することです。ガス会社やその社員が使わなければ、一般のお客様に提案することは困難です。2010年には、業界の自主目標として、LPガス業界が6万台、都市ガスが17.5万台の合計23.5万台を販売目標としています。
まず、単純に計算すると、LPガス業界の6万台は、2万7千社の事業者が1社2.2台平均の設置という計算です。従業員一人当たり400軒の顧客件数と考えますと、社員1人が一台をまず自家設置することで、目標は達成可能な計算です。
いま、LPガス事業の将来は、「発電事業の興亡」に掛かっていると、私は考えています。そのためには、まず業界全体を上げて、普及・導入時の困難を乗り越えることが必要です。LPガス業界全体が、導入期の課題である「イニシャルコストの低減」を図るための導入事例を1件でも多く作ることが必要です。多少高くとも、政府の補助金に会社からも補助を出すなどの工夫をして、社内設置・展示も含め、1人でも多くの社員宅への設置推進を図ることが必要です。
発電以外の「LPG車の利用促進」「給湯暖房のエコジョーズ」「最高級のガラストップコンロ設置」を
発電事業以外でも、LPG車の普及、エコジョーズによる給湯暖房システムの普及、高効率ガラストップコンロも同様に、社内の利用促進を徹底して図りましょう。自ら利用せずに、普及は困難です。ぜひ業界全体で取り組みましよう。
☆ TACTICS ☆
2ケタ成長を考えよう
武多 利晃
じり貧状態だから2ケタ成長を考えよう
「競合エネルギーに攻められ少子高齢化が続く中、バカなことをと思われるかもしれませんが、「自社の年率2ケタ成長」を考えて欲しいと思います。
私たちLPガス業界は、現状の家庭用エネルギーだけでは伸びない状況になっています。燃料電池が普及期に入り家庭で発電する時代が到来するまでは、今までと同じことを行っていてはじり貧になるだけです。実際に現場は、電化・都市ガス化や大都市への人口移動などの顧客減少、競争激化に伴う販売差益の減少など、じり貧の状態です。
手が届く「数%成長」目標では現状を突破できない
2ケタ成長にこだわるのは、仮に現状の枠組みを大きく変えずに頑張ったら手が届く「数%成長」の絵では、実現性があるように思えるため、逆に思い切った手が打てません。手に届きそうな分、かけ声中心の精神論、ガンバイズムになりがちです。また、計画が未達成の場合は、経営者も社員も自己の責任感が乏しく、「毎日頑張っているんだけどなぁ」と現状打破の改革意識が低い結果になります。
一方で2ケタ成長を考えることは、とても良い効果が期待できます。それは、今までにない発想をもとに検討がはじまるからです。今までの商売の延長で議論や戦略を練っても2ケタ成長は通常実現できません。そのため異質な議論・考えをよりどころに新しい需要創造を考えることが必要になります。
どの企業も今までの成長パターンに限界がきている
2ケタ成長の難しさはLPガス業界だけではありません。日本を代表する多種多様な有名大企業にしても、優れた新製品の開発・海外市場への進出、ライバル企業の合併・買収といった従来の成長パターンに限界が見え始めています。企業の海外展開は行く着くところまで到達し、多くの事業分野は合併・買収により統合され、大規模な製品の技術革新の頻度は減りつつあります。
LPガス業界の場合、多くのLPガス会社の成長はガス顧客の開拓・商権買収・地方への進出が主で、この成長パターンに限界が見え始めています。だからこそ今までの成長パターン・収益モデルを延命するような検討では十分に描けません。だから「自社の年率2ケタ成長」を本気で考え検討して欲しいのです。
「2ケタ成長する」のための二つの重要性
「2ケタ成長する」を前提に検討すると、二つの重要性に気づきます。一つは「基幹ビジネスの品質・効率」、もう一つは「顧客との共感・共鳴」の二つの重要性です。
「基幹ビジネスの品質・効率」の重要性とは、まさに基幹となるLPガス事業の品質と効率が重要であることです。これがなくては、新たな需要創造の花が開くまで収益維持ができませんし、その新たな需要にために経営資源の投入もできません。もちろんLPガス事業は今後も十分収益が期待できる事業です。まずは競合エネルギーに負けないLPガス事業としての品質と効率の向上が、2ケタ成長の土台になります。
二つ目の「顧客との共感・共鳴」の重要性とは、製品・商品に大規模な技術革新が当面期待しづらい中で、2ケタ成長を行うには、現在の顧客の深耕に立脚した成長戦略が身近で確かな方法です。しかし問題は、現在の基幹であるLPガスの顧客と「顧客との共感・共鳴」をできていないところが多く、新しい需要創造を行う際に「顧客との共感・共鳴」をすることを不得手に放置してはいられない点です。
言い換えると新しい需要創造には顧客の目線から考えて自社が必要不可欠な存在となりえるビジネスを展開できること、そこに集約されます。
そのために「顧客との共感・共鳴」が重要な2ケタ成長のファクターになります。
現在の環境下で2ケタ成長を考えると色々な問題・壁があることでしょう。しかしあきらめず新たな発想をもって今までと違った努力を日々行うことが新しい道を拓くことになります。
☆ Marketing-Eye ☆
「顧客データはあるのに‥」「では営業行動データは?」
〜「大枚を投じシステム改良して顧客データを整備した」「それだけで大丈夫?」〜
長谷川 洋二
ここ数年、あちこちの元売会社様や卸会社様から、「自社の『顧客管理システム』をバージョンアップした」というお話を良く聞きます。「ネットワークを駆使した最新鋭システム」などと胸を張られています。そこで自慢のシステムを見せて頂くと、どれも「さすがに素晴らしい。さぞかし賢い人が作ったんだなあ」と感心してしまう程の出来です。
しかし何故か「徹底活用によりバリバリ売れてます」という景気の良い「成果の話」はあまり聞かないのです。私がそれを不思議に思い、システム担当の方に「何故だと思いますか?」と尋ねると「我々は作る方ですから、使う方の問題ではないですかねえ」という答がほとんどでした。
営業に費やす時間データは無いことが多い
直売現場には「営業以外の業務や社内業務が多すぎて、営業訪問が出来ない」という意見が根強くあります。確かに昨今、それらの時間は増加傾向にあります。
それでは、「それらにどの位の時間を費やしているか」、「どの位増加しているのか」というと、残念ながらそのデータがありません。例えば日報はせっかく記入欄を設けていても、記入実態を見ると
- どの顧客にどの位(何回目?)訪問しているか
- 訪問先に無意識な偏りはないか
- 滞在時間はどれほどか
- 移動時間はどれほどか
- 誰を相手に何を提案しているか
- 提案には、どのツールがどのように使われたか
- それに対してその顧客はなんと言っているの
など「営業活動の根幹にかかわる正確なデータですら収集できていないのがほとんど」という実態です。
現場部門長は問題を感じていても先送り
実際話した印象では、多くの不振部門の部門長は、社内業務や提案活動などの主業務において、「部門の現状の沈滞ムード」を何となく肌で感じ、過ぎ去る毎日に疑問や問題を感じておられます。
しかし「正確に現状を把握する為のデータ」などがない為、「まあ確かに低迷してるけれど、ここは何とか頑張るしかないからなあ」などと漠然と自ら結論づけてしまいます。これでは本質的な問題が特定できず、解決が棚上げ・先送りされ、以降の成果向上など求むべくもありません。
管理者に「販売現場の様子」を見させる必要性
根本原因は、先ず現場担当者が「非効率な役割分担・業務習慣で提案に時間を割けない」事があります。
しかし実はその裏には、多くの管理者が「提案不足を薄々感じてはいるものの、人間本来の“変化を好まない本能”から、敢えて自らの責任として認めたくない」心理があると感じています。いつもこれが改革の最大の敵です。
唯一の救いは「管理者はもともと優秀な人間である」ということです。もし「課題」を明確な形で認知すれば、解決に着手します。そこに販売活動現場の課題を明確に示すデータ収集の必要性があります。別の見方をすれば、「嫌でも課題を認めざるを得ない仕組み」とも言えます。
我社ならではの「スーパー営業日報」を作ろう
業種を問わず成功している会社・部門の共通点として「現場情報収集ツールとして“営業日報”を意識して徹底的に活用している」事があげられます。彼らは「たかが日報」などと決して軽視しません。その共通項は、
- 顧客の「反応」「息づかい」を記録する工夫がある。
・ 出来れば商談終了後即時、車の中で書く。
・ トーク形式が望ましい。
(お客さまの「今の反応」や「言葉の端々」。そんな生の折衝記録に現状課題が明確に見える。)
- 次に何をやるかが予定を書く形式になっている。
(日報は次の一手を予定し、明日の行動を自己確認する道具である。)
- 日報の設計には営業担当者を参画させる。
(書式にこだわるより、運用することが何より大切。担当者が毎日喜んで書くようでなければ正確なデータは集まらないし、続かない。)
皆さんの日報は、現場の様子が見えますか?
☆ Accounting ☆
決算書を見てみよう・簡単な経営分析をやってみよう9
〜「総資本回転率」について〜
永岑 俊彦
前回は、総合的な経営指標である「総資本対経常利益率」の2つの構成要素の1つである「売上高対経常利益率」を中心とした収益性指標について述べましたので、今回はもう1つの構成要素である「総資本回転率」を中心とした効率性指標についての説明を行います。
復習を兼ねて「総資本対経常利益率」「売上高対経常利益率」「総資本回転率」の算出方法を載せておきます。
LPガス事業の効率性は?
「総資本回転率」は総資本をどの程度効率的に活用しているかを確認する指標で、事業に投資をした総資本が売上によってどの程度回収されているかを表すものです。当然、「総資本回転率」が高いほど効率性は高いことになりますが、LPガス事業の効率性は他の事業(特に小売業)との比較ではどの様になっているのでしょうか?
客観的なデータとして毎回使用している「中小企業の経営指標」には、残念ながら「総資本回転率」は掲載されていませんので、筆者の前職(金融機関)での経験を踏まえると以下の通りとなります。なお、効率性指標の単位は「パーセント」ではなく「回」を使用します。
あくまで上記の数値は目安ですが、「総資本回転率」の点ではLPガス事業は小売業よりも製造業に近くなっています。この差の原因はどこにあるのでしょうか?
固定資産が大きいLPガス事業
前回も触れたように経営分析を実施する際には、まず全体を把握し、段々と細かな部分を確認することとなります。それに習い、以下では「総資本回転率」以外の効率性指標を確認していきます。
※燃料小売業と小売業平均の効率性比較「中小企業の経営指標」より
「中小企業の経営指標」に掲載されている効率性指標において、小売業平均と比較した際の差が顕著なものは「固定資産回転率」(固定資産÷売上高:固定資産をどの程度効率的に活用しているかを確認する指標で、設備を効率的に活用しているか否か、獲得できる売上に対して設備投資は過剰ではないかを表す)で、小売業平均よりも1.4回低くなっています。さらに、筆者の経験則では、LPガス事業における「固定資産回転率」は3〜4回程度で「中小企業の経営指標」の数値よりもさらに低い印象を持っています。この小売業平均との差は、LPガス事業における供給設備等への設備投資負担の大きさに起因すると思われます。
財務面におけるPガス事業の特性
下表は総合的な経営指標である「総資本対経常利益率」の小売業平均との比較ですが、燃料小売業の方が0.3%低くなっています。
上記「総資本対経常利益率」の数値と前々回から今回までに述べてきたことから、小売業平均との比較におけるLPガス事業の財務面での特性は以下の様に説明することが出来ると思われます。
次回以降はその他の経営分析について説明を行います。
☆ MDS-NEWS ☆
セミナー御礼・商品のご案内・会社移転のお知らせ
セミナー盛況のうちに終了!!
去る8月24日(水)に開催いたしました、「第3回 地域店のための経営戦略サポートセミナー」は、皆様のお蔭をもちまして大盛況のうちに終了することができました。社員一同、心より御礼申し上げます。
今回のセミナーでは「コーチング」をテーマに、部下を蘇らせる育成法を4人の講師よりお話させていただきました。今回「コーチング」という初めての題材に、当社の講師も奮闘しておりましたが、その中でも特に「でんかのヤマグチ」の渡辺部長のお話は、皆様から大変なご好評をいただきました。
今回、残念ながらご参加いただけなかった皆様にも次回はより充実した内容のセミナーを開催したいと思っておりますので、ご参加の程よろしくお願い申し上げます。
新商品「業績アップコーチング」(書籍+CD−ROM)が好評発売中です
上記のセミナーに併せて、新商品『部下がみるみる蘇る!魔法の部下育成法「業績アップコーチング」』(書籍+CD-ROM)が好評発売中です。コーチングをテーマに、今回5人のマネージャーさんにスポットを当て、業界をまたいだ事例・ノウハウを満載しております。この5人のマネージャーさんは、皆成功を収められている方々なので、本商品は成功事例集といってもよいでしょう。皆様におかれましても、成功事例からヒントを得て新たな成功モデルを構築していただければと思います。
制作担当の私は、上記商品の開発に携わりましたので、この場を借りて私見を述べさせていただきます。
まず、この商品の目玉は上記にもある通り、5人の達人マネージャーさんの成功事例です。そして面白いことに、この5人のマネージャーさん達は、「LPガス業界」、「都市ガス業界」、「家電業界」、「住宅リフォーム業界」、「飲食業界」と、皆異業種で活躍されている方々なのです。
良いも悪いも、業界のならではの「体質・特質」のようなものがあります。我が業界で常識とされることも、同じ業界内の単一的な視野だけでは気づかないこともあります。私も取材させていただいて、非常に面白く勉強させていただきました。「常識を疑え」ではありませんが、他業界の常識を覗いてみるのも新たな発見(=気づき)につながると思います。
「気づき」という言葉は、コーチング用語といっても過言ではないかと思いますが、この「業績アップコーチング」から気づきを得ていただければ幸いです。この商品を手にすることによって、コーチングスキルが身に付くだけでなく、手にしたあなた自身がコーチングを受けることになるかもしれません
「繁盛指南ガス業界版」売上トップ3発表!!
ガス業界の皆様には、ご好評いただいております「繁盛指南シリーズ ガス業界版」ですが、9月の決算を迎えましたので、第8期の売上トップ3を発表することといたします。
| 1位 | 「競合エネルギー対策編」 |
| 2位 | 「得意客づくり編」 |
| 3位 | 「賃貸オーナー対策編」 |
という結果となりました。
皆様にはご愛顧いただきまして、ありがとうございます。
別紙にて、本3商品を改めてご案内しておりますので、よろしくお願いいたします。
会社移転のお知らせ
弊社は、10月より新たな期を迎えます(9月が決算)。そして弊社は、皆様のお蔭をもちまして業績も年々進展の一途をたどり、いよいよ手狭となりましたので、移転するはこびとなりました。移転の時期は、11月中旬を予定しております。
詳細は、改めてご報告させていただきます。今後とも、皆様のご愛顧ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。